人生の転機

日々の事や過去の大きな出来事を綴っていきます。

検察庁③

逮捕→送検→勾留→勾留延長と、お決まりのコースをたどっている。送検後10日以内の勾留となるので、逮捕日から言うとあと4,5日はここにいるのはほぼ確定だ。次のイベントは10日の勾留が切れる前に再度検事から呼び出しがあり、その後の勾留されるか否かだが、単純事件ではあるがそこにはやや私怨というのもが絡んでいるため簡単には釈放されないのであろう。供述の段階で私がそのようなことを言ったがために余計なことになってしまった。検事は、今釈放させると被害届を出された逆恨みで被害者に対し逆襲をするのではないかと恐れているのかもしれない。そうすれば釈放を命じた自分のせいでなってしまう。恨みなどがある事件は基本的に満期勾留をし疲弊させ、起訴後も拘置所に入れることで二次被害を防いでいるのではないかとも考えてしまう。

3回目の検事取り調べまでに、弁護士のアドバイスで謝罪文も書き、請求された被害額もすぐに振り込んでもらった。刑事からも「厳しい処罰感情はない」と聞いていたので、1回目の10日勾留延長で釈放になるだろうと、私も弁護士も踏んでいた。検事の取り調べでも、私は涙し心底反省している態度も見せたし、事件を起こした動機についてもある程度検事からも理解を得たと思っていた。しかし、結果は再度10日間の勾留となった。これが一番堪えたかもしれない。こうなると示談とかにならない限り満期勾留の可能性が出てきた。1月1日に逮捕されたとなると、1月22日か23日まで勾留されることとなる。3週間以上である。社会人がこれだけの期間、世間から途絶されるとなると以前の環境と全く同じに過ごすことは不可能である。無職の一人暮らしであればもしかしたら誰にも知られずやり直すことができるかもしれないが、私の場合はそれは無理だし、後日面会に来た職場の人に辞職も伝えた。ここから生き地獄のような環境で、10日間過ごすことはますます社会復帰を妨げる以外のなにものでもないと思われる。受刑者の再犯率が高いのもうなずける。

さて、検事の調書に触れてみたいと思う。刑事のそれとほぼ同じようなプロセスで作成されるのであるが、決定的に違うところは検事が読み上げた文章を事務官が入力するところだ。刑事は自分で入力するので不慣れな人はとんでもなく時間がかかる。その点事務官は一応プロであるので入力自体は早いが、検事が考えながら文章を読み上げるので時間がかかる。出来上がった調書を再度読み上げ、訂正箇所などあれば、また入力となるのだ。刑事の供述調書と合わせ、裁判の際には有力な証言となってしまうので不利な言動は極力削除してほしいのであるが、その場にいると言いなりになっていたほうが検事の心象がよいという謎の考えで支配されていたのでその時は何も考えず指印を押した。

すべては起訴し、有罪に持っていきたいための証拠類だ。一度指印を押したものの訂正などは一切できない。釈放後にいろいろと調べると、指印は押してはいけないことや弁護士を立ち会わせるなどの記述があったが、実際にあの場面でそれを主張することは無理である。司法の世界では弱者と強者の関係は明確であり、弱者にとって武器はなにもない。ただひたすら真摯な態度を見せるだけなのだ。